妻が実家に帰ったままこちらに戻ってきません。
妻にそのような態度を取られることに心当たりがないのですが、もう愛情も冷めたため、妻と離婚したいです。
どうしたらいいでしょうか。
夫婦には同居義務がある
実家に帰ったまま戻ってこない妻に対しては、どのくらいの期間実家にいるのかにもよりますが、離婚できる可能性はあります。
そもそも夫婦には同居し、お互いに協力して助け合う義務があります(民法752条)。
この義務に違反した場合、「悪意の遺棄」(民法770条1項2号)として、離婚理由となります。
悪意の遺棄とは、正当な理由がないのに民法752条の同居・協力・扶助義務を果たさないことをいいます。
妻が実家に帰ったまま戻ってこないことに、正当な理由がなければ、悪意の遺棄ということができます。
離婚協議をしてみて、結論が出なければ、家庭裁判所に対して調停を申し立て、調停が不成立になった場合は、地方裁判所に対して離婚訴訟を提起することになります。
悪意の遺棄があったことを証明する必要がある
訴訟を起こす場合は、妻による悪意の遺棄があったことを証明する必要があります。
一般的に証拠となる可能性のあるものは以下のとおりです。
1.住民票
住民票を移している場合には別居の証拠となりえます。
2.家出人捜索願出証明書
家出をしたこと、遺棄があったことを証明できます。
警察署で取得できます。
3.預貯金通帳
これは、相手方が生活費を入れないことを証明するためのものです。
相手方が夫婦の扶助義務を果たしていないことを推定するための証拠となりえます。
そのため、一般的には、妻ではなく、夫が家出をした場合に有効かもしれません。
4.領収書やクレジットカードの利用明細書
生活費の記録を見ることができるので、夫婦が同居していないこと、扶助義務を果たしていないことを推定するための証拠となりえます。
5.弁護士会の照会の回答書
弁護士に依頼すれば、弁護士会の照会制度を使えます。
警察署から家出人捜索願の受理日を照会すると、別居が始まったことを証明できることになります。
相手方が行方不明の場合に必要な証明
妻や夫が行方不明になって、生死がわからないときは、行方がわからなくなってから3年以上経っていれば、離婚をすることができます(民法770条1項3号)。
その場合は、3年以上経過したことの証明が必要になります。
1.新聞記事
事故などで生死不明になったときに証拠になりえます。
2.家出人捜索願出証明書
家出をして生死が不明になったことを証明できます。
警察署で取得できます。
3.弁護士会の照会の回答書
弁護士に依頼すれば、弁護士会の照会制度を使えます。
警察署から家出人捜索願の受理日を照会すると、生死がわからなくなった日がいつであるかを証明できることになります。
まとめ
・夫婦の同居・扶助義務に反すると離婚理由になる
・裁判離婚をする場合は、夫婦が同居していないことを証明しなければならない
・離婚できるかどうかの判断や証拠については、弁護士などの専門家に相談したほうが良い
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