養育費とは、未成年の子どもが生活するために必要な費用のことをいいます。
親は、子どもに対して扶養義務を負っているため(民法877条1項)、養育費を負担する義務があります。
この義務は、親権者であるかどうかとは関係がありません。親権者ではない親も養育費を負担する義務があります(民法766条3項)。
養育費を受け取ることは子ども自身の権利であり、子どもは親に対して請求する権利があります。
未成年であれば、乳幼児であっても親に対して養育費を請求する権利があります。
実際に乳幼児が親に対してお金をくださいということはできないので、乳幼児を含む未成年者の代わりに、親権者が、親権者とならなかった親に対して養育費を請求することになります。
また、養育費の支払いは、親権者と親権者とならなかった親とが、子どもに対して分担して負担する生活保持義務です。
生活保持義務とは、親が子どもに対し、親と同レベルの生活をさせる義務のことです。
しかし、子どもの養育費かかる費用を全額負担させることができるという意味ではありません。
また、親権者が働かずに経済的に自立した生活ができる程度の金額を負担させることができるという意味でもありません。
別居している間の養育費についてはどうか
婚姻中に別居している場合、子どもを引き取っている親は子どもを引き取っていない親に対して、養育費は請求することができますし、婚姻費用(婚費)として子どもを引き取っている親自身の生活費を請求することもできます(民法760条)。
婚費を請求する場合には、子どもの養育費が含まれていると解釈されることになります。
養育費はいつ支払いが終わるのか
成年に達した者は、自分で経済的な負担をすることを求められます。
ですので、子どもが成年に達した後は、子どもに対する生活保持義務がなくなるため、養育費の支払い義務もなくなります。
したがって、養育費は子どもが成人するまで支払うということが原則になります。
子どもが大学に通うことを予定している場合
ただし、子どもが大学に通う場合、子どもを学業に専念させるため、大学を卒業するまで養育費を支払うという取り決めをすることがあります。
そのような場合は、離婚協議書には「22歳に達した後に到来する3月末日まで」とすることになります。
しかし、大学生であってもアルバイトなどによって生活費を得ることが可能な場合、成年に達した後も大学に通うというだけで養育費の支払い義務があるとは言えません。
とすれば、「22歳に達した後に到来する3月末日まで」という離婚協議での取り決めに、果たして法的効力があるのかどうかというのは微妙なところです。
子どもが経済的に自立できない場合
子どもが心身に障害を持つなどして、成年に達しても自力で生活費を稼げない場合、成年に達している以上、子どもに対する生活保持義務がなくなるため、養育費の支払い義務もなくなります。
しかし、この場合には、直系血族(親や祖父母など)に、その子どもに対して扶養義務が生じるため(民法877条1項)、養育費に代わる生活費用の負担が求められることになります。
養育費の額はどのように決めればよいのか
養育費の算定については、生活保持義務として適切な金額を決めるという考え方になります。
このことについては、家庭裁判所が示している養育費の算定方式を参考にするといいでしょう。
これによって公平な金額を出すことができるため、夫婦双方の納得できる結論を円満に導くことができるからです。
養育費の算定方法のくわしい記事はこちら
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