不倫の慰謝料請求の時効が過ぎているかどうかはどうやって判断する?

よくある事例

夫と離婚してから10年が経ちました

結婚して20年で相手の不倫で離婚しました。今更ながら慰謝料請求したいと思っています。

不倫の慰謝料が請求できる時効は3年と聞いたのですが 、慰謝料の請求はできますか?

不法行為に対する損害賠償請求権はいつを基準にして3年で消滅するのか?

不倫などの不貞行為を原因とする離婚に伴う慰謝料は、不法行為の基づく損害賠償請求です(民法709条)。

不倫などの不貞行為そのものについての慰謝料も同様です。

(不法行為による損害賠償)

第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

不法行為に基づく損害賠償請求は、損害及び加害者を知ったときから3年間請求権を行使しないと時効で消滅します。

このとき気をつけなければならないのは、いつから3年間経過すれば消滅するのかということです。

不倫による離婚の場合でいうと、「離婚という損害があったとき」プラス「加害者が誰であるかを被害者が知ったとき」から3年間という時効のカウントが始まるのです。

つまり、夫が離婚の原因を作った場合、離婚した後、3年間、離婚慰謝料の請求をしないと請求権が消滅します。

事例の場合、夫と離婚してから10年が経過しているため、そのあいだ離婚慰謝料の請求権は消滅しているといえます。

したがって、事例の妻は離婚による慰謝料を請求することはできません。

次に、不貞行為そのものによる慰謝料ができるかどうか、ということが問題になりますが、「不貞行為という損害があったとき」プラス「加害者が誰であるかを被害者が知ったとき」から3年以上が経過していますから、やはり、不貞行為そのものによる慰謝料も請求することができません。

事例から学べる対策

慰謝料について離婚協議が終わるまで離婚しない

不貞行為による離婚についての慰謝料を請求したい場合は、離婚協議が終わるまで離婚届を出してはいけません。

時効カウントのスタートである「離婚という損害があったとき」プラス「加害者が誰であるかを被害者が知ったとき」という条件がそろってしまうからです。

言いかえれば、離婚協議をする前に離婚届を出してしまうと、加害者から見れば、離婚届を出した時点から3年間にわたって離婚協議を拒否すれば慰謝料を免れることができるようになります。

ですから、必ず離婚協議が終わってから離婚届を出しましょう。

離婚協議の内容は、必ず離婚協議書にまとめておきましょう。

できれば公正証書にするほうがベターです。

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