不倫相手に対して慰謝料を請求する方法

Q.夫の不倫相手に慰謝料を請求したいですが、できますか?また、どうすればいいですか?

慰謝料を請求できる場合とできない場合がある

まず、慰謝料という言葉ですが、何に対する慰謝料なのかをはっきりさせる必要があります。

不倫行為についての損害賠償請求を意味する場合

「慰謝料」が、不倫(不貞行為という)についての損害賠償請求を意味する場合は、夫に対しても請求できますし、不貞行為の相手にも、問題なく請求できます(最高裁昭和54年3月30日判決)。

問題なのは、そのことが原因で夫婦が離婚をした場合で、離婚を原因とする損害賠償請求を意味する場合です。

離婚についての損害賠償請求を意味する場合

「慰謝料」が、不倫などの不貞行為が原因で離婚をした場合の、離婚についての損害賠償請求を意味する場合は、原則として不貞相手に損害賠償を請求することはできません(最高裁平成31年2月19日判決)。

離婚によって婚姻関係を解消することを決めたのはあくまでも夫婦であるから、不倫相手は関係ないという理由です。

ただし、不倫相手が離婚をさせることを意図して不倫していた場合は、離婚したことについての損害賠償請求をすることができる場合があるとしています。

婚姻関係が破綻していた場合

夫婦としての関係が、すでに実質的に終わっていると見られる場合は、その間に不倫行為をしても、相手方は、不貞行為について責任を問われないとされています(最高裁平成8年3月26日判決)。

つまり、夫婦としての関係が冷めきってしまっているときに不倫をしても、精神的なショックがない=損害が生じていないと見られるため、損害賠償が発生しないという理屈です。

不倫の相手方に損害賠償を請求したいときの方法

まずは、不倫の相手方とコンタクトを取れるかどうかです。

コンタクトを取れるようなら、まずは損害賠償を支払う意思があるかどうかを確認します。

そのことについて話し合いたい旨を伝えてもOKです。

賠償金額は、穏便に済ませたいなら相場を意識した金額でも構いませんし、裁判してもいい覚悟があるなら言い値を吹っかけるという選択もあるでしょう。

そのさい、不倫の証拠がある場合には証拠があると言い添えておきましょう。

そうすることによって、裁判をしなくて済む確率が大幅に上がります。

証拠がない場合は協議しても弱い立場になってしまう可能性があるので、できれば自分で、または探偵などを雇って証拠を集めておくほうがいいでしょう。

支払う意思がないと言われた場合は、内容証明郵便で損害賠償を請求する請求書を送ります。

住所がわからない相手である場合には、別途調べる必要があります。

10日〜2週間程度の期限を切って、指定口座に入金するように請求しましょう。

期限内に入金されない場合は、法的措置をとる覚悟であることを一言添えてプレッシャーを与えておきます。

入金されなかった場合は、相手の財産の仮差押え処分などをして、財産を隠したり動かしたりできないようにしてから、訴訟などの法的措置を取る手続きを始めることになります。

まとめ

・夫(または妻)に対しては、問題なく慰謝料を請求できる

・不倫相手に対しては、まず、何に対する慰謝料を請求したいのかをはっきりさせる必要がある

・不倫相手に対して、不倫行為についての損害賠償請求をすることはできるが、不倫が原因で離婚した場合は、離婚についての損害賠償請求をすることは、原則として、できない。離婚を決めたこと自体は夫婦の責任だからである

・夫婦としての関係が冷めきってしまっているときに不倫をしても、精神的なショックがない=損害が生じていないと見られるため、損害賠償が発生しない

・不倫相手とは、まずは示談する。示談に応じてくれない、または決裂したら法的措置を取る

・不倫があったことの、それなりの証拠は準備しておくこと

・自力で解決できそうもないときは、探偵や弁護士などの専門家に相談すること

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