離婚協議と離婚調停の違いはなんですか?

順を追って説明します。

まずは離婚の大原則はこれです↓↓

離婚は、夫婦の合意だけですることができる

離婚は結婚と同じく、本来は両性の合意だけですることができます。

具体的には、夫婦双方に離婚の意思があることと、役所への離婚の届け出によって成立します。

これだけです。

離婚届に離婚協議書を付ける必要もないですし、離婚理由が問われたりもしません。

しかし、たとえば、両者に離婚の意思はあるし、離婚届を市役所の持っていく用意もある場合で、妻が夫に対して、子どもの養育費を月々いくら払うという約束をしてほしいという希望があるとして、そのまま離婚届を出してしまったら、夫が養育費の支払いを月々してくれるという保証はどこで確保すればいいのでしょうか?

市役所は淡々と戸籍を書き換える作業をするだけであって、夫婦間の約束事を保証してくれたりなどしません。

約束を果たしてくれるかどうかの担保は自分で取らなければならないのです。

両者が決めた離婚の条件(財産をどう分けるか、養育費をどうするか、親権をどうするか、不倫や暴力などで慰謝料が生じる場合にはどうするか)は、離婚しようとする夫婦の間の契約の一種です。

契約は口約束でも成立しますが、文書に残してないと証拠になりません。

相手が約束を果たしてくれないときに、相手に対して約束を果たしてくれるよう強制するには、裁判所に訴えなければいけません。

そのときに文書という証拠が残っていないと、裁判所は、そのような約束はなかったのだと判断する可能性があります。

ですので、離婚しようとする夫婦間の約束事を文書に残しておく必要があります。

このような約束事である離婚をするときの条件(財産分与・養育費・慰謝料の額や支払い方法、親権や面会交流など)を決める話し合いのことを離婚協議といいます。

そして、離婚協議で決めたことを文書にまとめた証拠となる文書のことを離婚協議書といいます。

離婚協議は夫婦が自由にすることができる話し合いであって、離婚条件は、夫婦が自由に取り決めることができます。

しかし、その話し合いの中で、どうしても条件が折り合わなかったり、相手の暴力が怖い、などの理由で協議をすることができない場合があります。

そのように、当事者同士で問題を解決できない場合には裁判所を利用することができるわけです。

一般的に争いごとが起きた場合は、裁判所に「訴訟を提起する」ことによって解決を図ります。

離婚の場合も、問題がこじれた場合には最終的には裁判所に訴訟を提起することによって解決を図りますが、離婚の場合には一般的な争いごとと違って、特別なルールがあります。

それが、離婚調停というものです。

離婚問題について地方裁判所に訴訟を提起する前に、家庭裁判所に対して必ず離婚調停をしなければならないという決まり事があるのです(家事事件手続法 257条、244条、273条など)。

離婚調停は、調停委員という中立とされる立場の人たちが裁判官の管理のもとで、夫婦両者の利害を調整してくれます。

このとき、夫婦は調停委員と別々に面談をするので、同席することはありません。

言い分をうまく伝えられる自信がない、自分で行くのはどうしても嫌だというときは、弁護士を代理人として立てることもできます。

両者の言い分を聞いて、離婚条件について利害を調整した後、調停案が示され、調書調書というものが作成されます。

調停案の内容については、示されたからといって納得することを強制されるわけではありません。示された離婚条件について納得できなければ拒否することができます。

調停調書の内容に納得できれば、離婚成立が成立し、片方または両者が納得できなければ、調停案は破棄され、最終的に地方裁判所に対して訴訟を提起することになります。

(裁判上の離婚)民法 第770条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

一 配偶者に不貞な行為があったとき。

二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。

三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。

四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。

五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

2 裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。

離婚条件は、判決という形で示されます。

判決の内容が不服であれば、上級裁判所に上訴することになります。

判決が確定すれば、最終決定ですので、両者はその内容を強制されることになります。

実際は、訴訟まで進む離婚事件は全体で2%程度と言われており、ほとんどが協議によって離婚しています。

まとめ

離婚を成立させるための全体の流れを下にまとめておきます。

まずは協議(話し合い)

話がまとまらない、話し合いに応じてくれない、相手の暴力が怖いなど

家庭裁判所に調停を申し立てる

調停案が示される

調停案に納得した→調停成立(離婚届を出して終了)

調停案に納得できない場合

調停に代わる審判

または訴訟の提起を地方裁判所へ申し立てる

判決に納得した→判決確定→離婚成立

判決に納得できない場合

上訴(最高裁判所まで争える)

離婚協議や裁判を考えている方へ

離婚協議での交渉や裁判を有利に進めるには、証拠となる物や書類を集める必要があります。

不貞(不倫・肉体関係)や暴力などの離婚の原因を作った相手と交渉したり訴えたりする場合、その事実を裏付ける証拠がなければ、有利には進められません。

証拠を集めるには、自分で集めることもできますし、探偵に依頼することもできます。

自分で証拠を集める場合は、こちらの記事を読んで注意してください。

探偵に依頼することを検討している方は、こちらの記事で信頼できる探偵の選び方を学びましょう。

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